ゲームは犯罪率を下げる?ゲームと犯罪発生率の関係性について

一昔前までは、「ゲームをすると犯罪に走りやすくなる」とか「ゲームが子供の発達に悪影響を及ぼす」などと言われていましたが、近年の研究ではゲームが広く普及することで犯罪発生件数が減少したり、ゲームをすることで暴力的衝動を抑えることができるというデータが公表されています。


アメリカのヴィラノヴァ大学とラトガース大学では、ゲームと暴力事件の発生率に関する研究結果が発表され、ゲーム販売本数が急上昇している時期に対して、同時期に発生した殺人/暴力事件の件数が比較的少ないというデータを公表しました。


特に、『Grand Theft Auto』や『Call of Duty』シリーズなどのビッグタイトルのリリースと犯罪発生率には一定の関係性も見られており、両シリーズ発売後には最大三ヶ月ほど犯罪率が低下する傾向にあることも伝えられています。



・ゲームと暴力事件発生率の関係性とは?米大学が研究結果を発表|Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト
https://www.gamespark.jp/article/2014/09/13/51585.html



また、ベルリンのMax-Planck Institute of Human DevelopmentのSimone Kuhn教授による、ゲームと脳の関係性についての研究では、MRIを利用してスーパーマリオ64 DSを二か月間遊んでもらい、脳の機能を分析したところ、思考や創造性を担う前頭前皮質、記憶にかかわる右海馬、小脳の発達に効果があったということがわかりました。スーパーマリオ64 DSは上下2画面で上が3D、下が2Dのため、同時に複数画面処理するのが脳の発達によいのではないかとのことです。


カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)のAdam Gazzaley教授とゲームデザイナーのチームがタッグを組んだ研究では、老人の知能低下を抑制するために、トレーニングとしてゲームを利用した実験を行ったところ、記憶力と集中力の向上に効果があったということが判明しました。



・ゲームが悪影響を及ぼすのは嘘?ゲームが与える驚くべき効果とは? |Review of My Life
https://review-of-my-life.blogspot.com/2017/05/effect-of-videogames.html



さらにアメリカ連邦捜査局(FBI)のデータによると、10代による犯罪は殺人事件も含め、16年間連続で減少し続けていると発表しており、テキサス大学アーリントン校で暴力ゲームとコミュニティーの関係を研究するマーク・ウォードも、スコット・カニンガム、ベンジャミン・エンゲルスタッターとともに先頃執筆した研究論文で、米国内の郡のうち、暴力ゲームを販売する店舗が多いところのほうが少年による暴力犯罪の発生率が低いことを指摘しました。同じような結果を記載した別の研究論文でウォード氏は、暴力行為を働きたくなった10代の若者が、現実の生活で攻撃的になる代わりに暴力ゲームをプレイしているのではないかという理論をうち立てています。



・暴力ゲームは青少年を「非暴力的」にするか|WIRED.jp
https://wired.jp/2011/06/29/%e6%9a%b4%e5%8a%9b%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%81%af%e9%9d%92%e5%b0%91%e5%b9%b4%e3%82%92%e3%80%8c%e9%9d%9e%e6%9a%b4%e5%8a%9b%e7%9a%84%e3%80%8d%e3%81%ab%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%8b/



近い将来、単なる遊びだけでなく犯罪抑止のツールの1つとしても、ゲームが広く利用される日が来るかもしれません。

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